第5章 葵の花
3時過ぎ。
だいぶ集中して出来たみたいだ。
衛輔くんは、と言うとコクリ、コクリと
眠気に対抗しながら頑張っている。
春華「衛輔くん、大丈夫?」
夜「あー、ちょい眠い。昨日夜練行った後、
黒尾たちと出かけたしな…」
衛輔くんは受験勉強の傍ら、春高に向けて毎日部活に行っている。
恥ずかしいから来るなって言われて、
私が衛輔くん達のバレーは体育の時くらいしか見たことがない。
何がなんでも春高は見に行くつもりだけど…。
彼が一生懸命にボールを繋ぐ姿は瞼に焼き付いて離れない。
私が思い出していると、私の手に別の体温が触れる。
夜「春華、手、貸して」
そのまま私の手を頬に当て、
夜「やっぱ、春華の手冷たいな。
目、醒めた!」
満足そうに笑っているけど、
私の体温は逆にどんどん上がっていく。
?って顔してるけど……。
ばか、と小さく悪態ついて、え!?と返ってきたから
何でもない、と言うしかなくて。
こんなことで嬉し恥ずかしと赤くなって、
私の方が馬鹿みたいだ。
衛輔くんが幸せそうなので、それでいいと思ってしまう私は
衛輔くんに負けないくらい安直かもしれない。