第3章 受験必勝法
~1月28日 私立白鳥沢学園高等部
入試当日~
私は、お母さんに車で送ってもらい、白鳥沢の近くで車を停めて下ろしてもらった
暖かい空気とも暫しの別れだ
車を降りる間際、お母さんが"深呼吸しなさいよ"と一言呟く。深呼吸?と思いながらも、私は"うん..."とそっけなく返してしまう。
でも、お母さんは満足したように笑った
「うぅ...寒ッ...」
冷たい風に思わず身を縮める
私にとって、アイツにとっても、今日が勝負の日...。緊張で息苦しいし、おまけに手足は上手く動かなかった。
家に帰りたいという衝動に駆られる
有名進学塾の"合格お見送り"が行われてるのを他所に、私は、受付を探した
先生「受験受付は、あちらです」
先生らしき人が、声をかけながら立っていた
私はソレを見て、受付を済ませ、教室へと向かった
回りには、私と同じく白鳥沢を受ける人達...
彼等だって、ココに居る以上、受かる気で来ているはずだ。"落ちる気なんて、サラサラ無い"そんな雰囲気が嫌でもビリビリ伝わってくる
"受験番号550~600"
そう紙が貼られたクラスを見つけて、中に入る。
前にある席順を確かめた後、私は、自分の席に座る
そして、私の目の前に座っている人物を見て、私は安堵した
「白布....」
「あ、池田さん。おはよう」
白布は早く来たのか、自習をしていた
私は、自分の筆箱からシャーペン等を出しながら、"緊張するね"と問いかけた
「うん...でも、僕は馬鹿正直にやったから...あとは頑張るだけだよ...」
「! そうだね...私も頑張るよ!」
2人で少し笑い合ったあと、私たちは自習を始めた
"頑張る"って、口で言うのは簡単だけど、実際に実行するのは、凄く大変なことだと思う。
___試験まであと40分を切っていた