第2章 中編
次の週。
ローとユーリは、予定通り魔法学校から一番近い礼拝堂へ向かった。
その礼拝堂はリエン国という王国が管理しているようで、まずはそこへ挨拶に向かうことになった。
相変わらずローは移動中は刀の中から出てこなかったが、王宮につくと出てきてくれた。
ユーリが1人でどう説明すればいいか分からないと呟いたら、数秒の沈黙後ローが現れたのだ。
ユーリはそんなローに感謝すると、二人で城内に入っていった。
ユーリとローの存在は既に世界中に知れ渡っている。
だから、彼らの入国許可はあっさりと終わり、国を管理している王女との謁見も直ぐに手配をしてくれた。
思っていたよりもスムーズに話が進んでいきホッと胸を撫でおろしたユーリ。
そして通された王女の間。
玉座に座る王女は美しい金髪の美女で、まだ若いようだった。
数年前、前国王が病で急死し、1人娘だった王女が国王の後を継いだそうだ。
ユーリが礼拝堂への立ち入りの許可と、その他諸々を一生懸命説明していたが、聞いているのか聞いていないのか、王女の視線はユーリの隣にいるローへ一心に注がれていた。
ローの表情は不機嫌のままで相変わらずだ。
「…話は分かりました。礼拝堂への立ち入りは自由にして頂いて構いません」
ユーリの話が終ると、どうやら一応話は聞いてくれたようであっさり許可を出してくれた王女様。
ユーリは良かったとため息を吐いていると、ローが王女に呼ばれていた。
ローは怪訝な表情をしながら暫くその場から動かなかったが、ため息を吐くと王女の玉座まで近づいた。
ローの長年の経験上、絶対面倒そうなこの状況。
しかし彼女の機嫌を損ねて、礼拝堂への立ち入りが難しくなるのも面倒だ。
最悪、強硬手段に出ればいいだけの話だが、無力なユーリがいるため極力穏便に済ませることにした。