第1章 アネモネの夢00~50
探偵社の名前を挙げれば、竹中の眉間の皺が寄る。
この探偵社は以前、大企業の金庫に忍び込み重要書類を盗み出し顧客に法外の値段で売りつけた経緯があり警察の中でも企業の者からも危険な目で見られている
こいつらの持ってたカメラのメモリを見せると藍羽を中心に俺達の顔も写っていて、何に使うのか。依頼人が何を欲しがってるのか明確なもので。
「またこいつらかい?釈放された途端にこれか」
「資金面でかなり切羽詰まってるように見える」
「君達がショッピングモールに行ってる間に朧君から彼女の素性は調べさせて貰ったよ」
「竹中」
「まあ、十中八九彼女を振った元彼の犯行だろうね、依頼人もきっと彼だ」
だが何の為に?自分から振って捨ておいて何故今になって?
先日、藍羽のマンションの近くで黒羽と見つけた不審な者達を思い出し。ああ、そうか。その男は藍羽を…
「理由が分かったかい?」
「胸糞悪い話だがな」
「この写真以外にもあると思うよ?まあ、僕達の正体は解ってない様子だけどね」
「他の写真か、帰りに藍羽にも聞いてみるが」
「随分ご執心だね」
「…何故か周囲にそう言われるな。俺はお市様の命で藍羽の護衛をしているんだが」
おや、そうなの?クスクスと面白そうに微笑む竹中に深い溜め息を吐きながら。自分達が写る写真が出回っても面倒だからと粉々に刻んでゴミ箱に放り投げた。
「まあ、織田と豊臣に着いて回りそうだったら潰しておくよ」
「頼んだ」
万が一、お市様何かにあったら俺達の面目が潰れるからな、信長公にも報告をしておかねばと、少々頭が痛くなった。