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アネモネの夢

第1章 アネモネの夢00~50


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お市様の付き合いで晴久、藍羽との外出中にまさか豊臣の者に出くわすとは。頼んだ料理に舌鼓を打ち、ビールを煽ればやたら藍羽が見るな、と。何だ?

「雹牙さんお酒飲むんですね」
「今日は徒歩だからな」

別に酒自体は飲まない訳ではない、嫌いでも無いがまあ飲むときは飲むな。藍羽の頭をぽんぽんと撫で、いや、何か頭を撫でるのがクセになりつつある。
隣のお市様の皿の上に注文で来た料理を取り分けてやり、己の皿に残ったのを入れると「面倒見が良いですね」と藍羽に笑われる。

まあ、昔からこのスタイルのせいか無意識行動というか。自分のペースでお市様に分けるから太ると叱られた事があったな。

何となく、藍羽の皿にも黙々と分けていくと急に竹中が噴き出す様に笑い始めた。

「雹牙君、妹が増えたかい?」
「市が2人になった気分だな」
「市、分身してないよ?」

親鳥みたいだねと笑う竹中ににっこり笑って殺気を向ければ、笑ったまま冗談だよと言われて。何と言うか、ああ、藍羽は何となく放って置けない感じがする
お市様は気にせず食事を再開したが、藍羽に視線を向ければ目を見開いて顔を凝視されていた。何があった

「雹牙さんの満面の笑み、初めて見た」
「ああ…」
「眼福~」
「は?」

藍羽は、お市様に似てると思っていたが。そうか、こういうとこが似てるのか。お市様は自分でヲタクだと豪語してるが、まあ、そんな感じだな。
良いから食え、とデコピンを食らわせれば痛みからか悶絶し始める。咎める様に隣のお市様から肘鉄が飛んで来た、地味に痛い。

「雹牙、貴様は天然か」
「市よりは正常だ、三成に天然だと突っ込まれたくないものだな」
「ヒヒヒヒ…!!三成は天然よりも純粋ヨ」

うんうんと横で頷くお市様に、その横で晴久はお市様を見て「お前が言うな」って顔しててなんだかいたたまれぬ
取り敢えず全員粗方食ったなと確認して竹中をトイレに呼びつけた。

「どうしたんだい?雹牙君」
「先程三成が没収したカメラなんだがな、持ち主の男を締め上げると〇〇探偵社の者だと分かった」
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