第2章 アネモネの夢51~99
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「女子会?」
「うん、学生時代の友達と約束したんだけど、今度の休みに行ってきます」
「そうか、その日は市と買い物に行ってくる」
「分かりました、楽しんで行ってください」
お市様と百合の誕生日プレゼントを買いに行く日はいつが良いか考えてたから丁度良かった。
土産何が良いかと問えば晩ご飯の材料?とか首傾げられてもそれは土産と言わない。お市様が食べたがってたケーキでも土産にするかと考えながら缶コーヒーを煽る。
「帰りは?」
「あー…遅くなるかもしれない」
「終わったら連絡しろ」
そう言って百合の頭をぽんぽんと撫でると立ちあがって缶をゴミ箱に放って。戻るぞ、と声をかけ社長室へと脚を向けた。
昼前に行ってきます、と家を出た百合を見送って、台所で片づけをするお市様を手伝う。出掛けるのは片づけが終わってから。着替えて出掛ければ何か久しぶりの休みだな。
「アクセサリー?」
「百合はそんなに装飾品は好んで着けてない様だが」
「雹牙があげたらつけるって」
ネックレスやブレスレットは1つくらい持ってても良いんだけど。そういうのプレゼントしてみたら?そう言われて首を傾げる。今までそういう贈り物した事無いから自分のセンスというものは如何ほどなのか。
手を差し出せばこてりと首を傾げられた。いつも手を繋いでいたの忘れたか?
「百合ちゃんと言う彼女できたんだから…」
「昔も今もお市様は妹だろうが」
それでなくても声を掛けられやすいのだから兄貴に甘えとけとデコピンを食らわせれば、嬉しそうに微笑まれてこちらも思わず頬が緩む。
急に俺や黒羽が離れがちになり寂しい思いをしているだろうに、以前から時々1人で寂しそうに屋根に登って空を見上げてるのを気付かれないと思っているのか。
小さい頃から仕え片時も離れなかったのだから寂しいのは当たり前な筈なのに。強がってるお市様の頭を撫でてやれば困ったように笑う。
久しぶりに甘やかしてやろうかと、チェックしておいたケーキが評判のバイキングに行くかと誘うとまるで犬がご褒美貰ったかのように見えぬ尻尾が見える気がする。
「誕生石はピンクトルマリンだね」
「まあ、目立たないものならば仕事にも着けて行けるだろう」