第7章 Sugar7
口を閉じて、準備を始める彼。
私の方を見てくれない。
「ごめんなさい・・・。」
俯いて、泣かないために必死に堪える顔を見せないようにする。
「・・・。」
無視しないで・・・。
こっちを見て・・・。
前持って準備していたからか、もう玄関に向かう彼。
まだ・・・まだ、時間がある。
流司さんが出なきゃいけない時間まで。
「っ、待って・・・!」
急いで追いかけて、後ろから抱きついた。
私より少し高い彼の肩に頭を乗せる。
「まだ、大丈夫だよね・・・?」
「離せ、もう行く。」
「やだ・・・。」
彼が怒るのは、私が間違ったことを言ったから。
流司さんは、私としたいだけじゃないから。
私の全部を見てくれて、愛してくれている。
「ごめんなさい。もう、あんなこと言わないから・・・怒らないで・・・。」
「・・・邪魔なんだけど。離してくんない?」
私はその言葉を聞いて、腕を離した。
許してくれない・・・。
待ってよ、まだ行かないでよ・・・。
彼は靴を履いて、扉の向こうに消えた。
一度も振り向いてくれなかった。
行ってきますも言ってくれなかった。
行ってらっしゃいを、言えなかった・・・。
次、会えるのは3日後。
それまでに、流司さんの愛が離れなければいいな・・・。
「流司さん・・・。」
3日も間が空くなんて・・・。
早くちゃんと謝って、流司さんが許してくれて、元通りになりたい。
昨日の夜は、あんなに愛し合ったのに・・・。
次にえっちするのが、怖い。
した次の日にまた、こんな風になるなんて、やだよ・・・。
帰ってくる頃には、彼の怒りが治まってればいいな。
笑顔で、許してくれるといいな。
私は彼に悲しい思いをさせた。
辛い思いをさせた。
流司さんの辛そうな顔が、頭から離れない。
大好きな人をあんな顔にさせて、私はなにをやってるんだろう。
思ってもいないことを、勢いに任せて言ってしまった。
私、これからも流司さんの隣にいれるよね・・・?
恋愛がこんなに難しいものなんて知らなかった・・・。
お願いだから、私のこと好きでいて・・・流司さん・・・。