第5章 Sugar5
「流司、料理出来ないって、外食ばっかだったのにねー。今じゃ、心羽ちゃんの手料理ばっか食べてんでしょー?ずるーい。」
「麻璃央くんだって、今、食ってるでしょ。」
「流司、いつもでしょ。」
なんでそんなことで、言い争ってるんだろう。
私の作ったものなんて、特別美味しいわけじゃないのに。
ほんと普通なのに。
「心羽、うなぎ食いたい。作って。」
「え、買ってじゃなくて、作って?ムリだよ。」
うなぎって焼くの大変そうだし。
てか、スーパーで生で売ってるの見たことない。
うなぎから作るわけではないよね?
それは、どう考えてもムリだし。
「肉じゃがとかは?」
「心羽、芋がダメなんだって。」
「え、芋が?」
「ホクホクしたのが、ムリなんです。」
芋類、ほんと苦手。
ホクホクしたの。
フライドポテトとか、長芋のとろろとかならいいんだけど・・・。
まぁでも、流司さんが食べたいなら作るし、食べられないわけじゃないから、いいんだけど。
「でも私、肉じゃがの味、好きなんですよ。あの甘いじょっぱいの。じゃが邪魔ですよね。」
「じゃがないと、肉じゃがじゃない。」
じゃがないと、あの感じにならいと思うけど。
やっぱり、邪魔。
「やっぱり、肉じゃがとか煮物系って、上手い人じゃないと美味しくなんないよね。」
「そうなんですか?普通に作れば普通になると思いますけど・・・。」
「上手い人の普通って、普通じゃないよね。」
普通っていう言葉、飛び交い過ぎ。
てか、普通は普通じゃないの?
料理って、調味料とか計ったりすれば失敗しないよね。
いちいち、計ったりしないけどさ。
めんどくさい。
「麻璃央くんとばっか、話過ぎ。」
「ん・・・。」
鮭を口に突っ込まれる。
そんな可愛いことしちゃダメだって。
いじりたくなるから。
でも、そうしたら、流司さん怒るし。
「今度なんか、手の込んだもの作るね。」
「俺といちゃつく時間、減らないようにね。」
もう、流司さんどうした・・・!
デレ過ぎだよ、可愛い!
ずっとこんなんだったら、いいのに・・・。