第5章 Sugar5
「ねぇ流司さん、急にごめん。流司さんが好きなバンドあるじゃん?そのバンドの曲、殆どドラム叩けるってやつ。」
「ほんと急にだね。とうらぶの話してたのに。まぁいいや、うん。」
「ボーカルの人と、ベースの鼻隠した人と、上手ギターの人、かっこいいね。」
なんだ、急に。
いや、お前が昔、バンギャだったのは聞いてたけど、好きなバンド被ってなかったよな?
だから、V盤の話なんて全然してないし。
なのに、なんで今っ!?
空気読めよっ!
みんな、ぽかんってしてるぞ!
「うん、まぁかっけーけど・・・てか、みんなかっけーから。」
「あ、うん、そうだね。」
本命盤とかじゃないと、やっぱそうだよな。
みんな好きとはならないよな。
よく知らないわけだし・・・。
「まぁ、お前がオサレ系寄りなのは知ってっから。俺、けっこう、いろいろ好きだけど、コテ寄りだし。」
まぁ、そこは仕方ないよな。
好みってのが、あるし。
でも、俺の好きなものを知ろうとしてくれてるって、伝わってくるから・・・。
それが、嬉しくて・・・。
「やばい・・・知らない単語が飛び交ってる・・・。」
「大丈夫、俺もだから。」
「君たちだけじゃないよ、僕らみんな。」
「あっ、ごめんなさい!急に全然違うこと話して・・・!刀ミュに戻りましょうか!」
「大丈夫だよ。」
みんないるのに、俺たちだけの時間って感じがして、嬉しかったのに・・・。
また、みんなの心羽に戻るの・・・?
ずっと、俺だけの心羽ならいいのに・・・。
お前の時間、全部欲しい・・・。
彼女を好きになればなる程、独占欲が強くなる。
俺、ソクバッキーなっちゃうなぁ・・・。
それだけはほんと、気を付けよう・・・。
お前は"物"じゃないから・・・。
「ねぇ心羽、歌ってよ。」
「えっ、やだよ!」
「いいから。」
今だけ、俺の心羽、みんなに貸したげる。
「~〜〜♪」
なんで、俺のソロ曲・・・。
そういうことするとこ、ほんと憎めない。
可愛い。
思ってることを言葉に出来たら、彼女は喜ぶのかな・・・?
「結局、流司かよ。」
「俺のだからね。」
てか、その曲の歌詞、俺の心境・・・。
いつか実現出来るといいな・・・。