第2章 Sugar2
「あーダメ。グロス塗ってるとちゅーしたくなる。」
「それって、俺以外でも?」
「んなわけないじゃん、流司さんだけだよ。」
らぶフェス始まります。今日から。
みんなのメイクしてるんだけど、今、流司さんのグロス塗ってて、その唇見てたら、ちゅーしたくてたまらない。
「っ・・・なに?」
グロスを塗ってる腕を急に掴まれて、見つめられる。
ドキドキが止まんない。
「したいんなら、しちゃえば?」
「み、みんな見てる・・・」
「見せつければ?お前は俺しか見えてないっていうの。」
「な、なに言って・・・」
それは、貴方だけがわかってればいい。
他の人なんて、どうでもいい。
それでも、その唇を見つめてると、したくなってしまう。
「わかったよ。」
そう言って彼は、着ているパーカーの襟元を両手で持って立てた。
「ほら、してよ。これなら、誰にも見えない。」
その言葉につられて、キスをした。
「ほんとお前って、キスすんの好きだよな。」
「流司さんだからだよ。」
鼻の先が触れてしまいそうなほど、至近距離で話す。
「名前、呼んで・・・?」
「心羽?」
「流司さん、好き・・・」
「俺は・・・言わない。」
そう言って、今度は彼から口付ける。
意地悪・・・言ってくれてもいいじゃない。
貴方の甘い言葉を聞かせて・・・。
「お前ら、コソコソなにやってんねん!」
「いっ」
「いったぁ!ぴーちゃんなにすんのっ!?」
鳥越さんが流司さんの頭を押して、おでこがごっつんってなった。
めちゃくちゃ痛かった。
「赤くなってんし。俺は?」
おでこを抑えてる私の手を掴んで、私のおでこを見て、自分のおでこを見せてくる。
「流司さんも赤い。」
「心羽、隠して。ぴーちゃん、あとで覚えてろよ。」
清光がおでこ赤かったらおかしいもんね。
化粧で必死に隠した。
もうファンデとか塗ってたんだけど、それでも赤いのわかってたからね。
「イチャイチャしてたお前らが悪いやんけ。」
「心羽からしてきたんだし。」
流司さんがいいって言わなきゃしてないし。
「鳥越さん、おでこ、慰謝料。」
「なんで単語だけやねん。」
けらけらと笑っている鳥越さんを少し睨んだ。