第9章 Sugar9
「俺がお前のこと、見てないと思ってる?」
「優衣さんしか・・・。」
「優衣優衣、うっさい!」
それは、流司さんでしょ。
口を開けば、優衣さんのことばっか・・・。
怒んないでよ。
流司さんが悪いんでしょ。
刀ミュの時は皆がいても、キスだってしてくれた。
今は、全然近付かないじゃん。
「流司さんだよ!いっつも、優衣さんの話しかしないじゃん!稽古場にいても、他のキャストだっているのに、優衣さんとしか話してないじゃん!私には、一切話しかけないくせにっ!だから広大くんが、話し相手になってくれたんでしょ!流司さんなんかより、広大くんの方が、かっこいいよっ!!」
耐えきれなくなって、一気に不満をぶつけた。
感情的になって、つい言っちゃったけど、広大くんの方がかっこいいは、ほんとかもしんない。
だってあんなの、かっこいいしか思えないよ・・・。
嫌な世界を全部遮って、広大くんの世界にしてくれたんだもん。
広大くんと話してる時は、2人が視界に一切入って来なくて、楽になれた。
「へぇ、随分仲良くなったね?広大"くん"って呼んでるんだ?俺のことは流司"さん"なのにね?」
「悪い!?広大くんは同い年だし、流司さんは歳上でしょ?」
「だから嫌だったんだよ。お前がNARUTOやるの。」
意味わかんない。
優衣さんとの時間、邪魔されたくなかったの?
私の知らないとこで、大好きな優衣さんと、いちゃいちゃしたかったんでしょ?
私とは、中々してくれないくせにね。
「広大に会わせたくなかった。」
「は?なんでよ?」
「絶対、好きになると思ったから。」
なにそれ。
私の気持ち、信じてなかったわけ?
自分で俺の気持ち、信じろって言いながら?
「そうだね、広大くんのこと、好きになっちゃうかもね!」
もう、やめて・・・。
ほんとはこんなこと言いたくない。
私が好きなのは、ずっと流司さんだよ・・・。
「だよな・・・広大っていい奴だろ?」
やだ・・・そんな顔しないで・・・。
そんな泣きそうな顔で、笑んないでよ・・・。
私がさせたい顔は、そんな顔じゃない。
可愛く笑って・・・?
八重歯を見せて・・・。