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甘い貴方を見つけるまで【佐藤流司】裏

第1章 Sugar1


「流司さん」


「なに」


ぶっきらぼうに答える彼は、私の恋人だ。

大人気の舞台俳優さんである。


「なにじゃないよ・・・もう・・・」


「俺、疲れてんだけど」


彼は朝早くから仕事があり、さっき帰って来たばっかりだ。
今はとうに日付けが変わってしまっている。


「一緒に寝たい・・・」


「無理。疲れてっから、ひとりで寝る」


まあ、いつもこんな感じである。


2歳年上の彼は、私を甘えさせてくれない。


ぎゅーってしてとかちゅーしてとかは、さすがに私の性格上言えない。


だからいつもこうして、ひとりでベッドに横たわる彼を見つめる。


抱きつきたくても出来ない。
本人が先程言っていたように、彼は相当疲れている。


「流司さん」


「・・・」


「・・・好き」


「わかってるから、寝かせろ」


「うん、ごめんなさい。おやすみ」


おやすみのちゅーとか、めちゃくちゃ憧れてる。


正直、キスすらしたことない。
付き合ってるはずなんだけどなぁ・・・。




交際歴は半年。

原作がゲームの2.5次元ミュージカルの初演で出会った。

私はメイクアップアーティストとして、携わさせて頂いてる。



流司さんの規則正しい寝息が聞こえてきた。
やはり相当疲れていたのだろう。いつもより寝入るのが早い。


「流司さん好きだよ・・・。流司さんは私のこと、好き・・・?」


独り言のように、寝ている彼に話し掛けた。
もちろん返事はない。


諦めて私は、いつものようにソファーに横になった。


今は、半同棲状態だ。


私は明日、午後から仕事がある。
流司さんも午後からのはずだ。


いつも、明日こそは素直になろうって、イチャイチャしようって思っても、いつも出来ない。
流司さんが求めてない。

きっと私のことが好きじゃないから、なにもする気にならないのだろう。


告白した時も私からだった。
彼から"好き"なんて言われたことない。



流司さん、私を愛して・・・・・・。








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