【S】Moebius Ring~目覚めたら執事!?~
第13章 暗号
美羽「姉様だって気付かないかもしれないのに。それでも、あなたは…」
櫻「…」
うーん。どういうことなんだ、これは。
いや、わかるよ?ここまでの流れで推察するに…
執事・櫻井は姉の美月にドップリ惚れていて。結婚が決まっていようと、その想いは変わらなくて。「結婚祝いに何か贈りたい」と美羽から相談を受け、それに乗じてまんまと指輪を勧めて。しかも何?結婚指輪は左薬指だから、右薬指に姉妹の絆のしるしとして?つけてもらえばいいんじゃないか、とか。ワケわかんないことを吹き込んだ、と。この私が。
そうなると…全部俺が仕組んだことか?って気がしてくる。そうとしか考えられないじゃん。だって。指輪に刻まれているのは、愛の証のような言葉(これは正真正銘美羽が考えたものらしいが)と、自分のイニシャルである“S.S”。それを妹からの贈り物と称して常時身につけてもらおうという…そういう姑息な手段に出たと。この私が。
…いやいや。ご冗談を、お嬢様。
と言いたいのは山々だが
どうやらそれが真実のようですな、お嬢様。私、返す言葉がございません。
ていうか
櫻「…申し訳ありません、お嬢様。わたくし、やはりそのあたりの記憶がまだ…」
美羽「…なによそれ。ズルイわよ、そんなのっ」
櫻「そう、仰られましても…」
だってホントにないんだもんっ!!