【S】Moebius Ring~目覚めたら執事!?~
第1章 prologue
「…何よ」
「え」
「『え』じゃないわよ。ボーっとして。…何見てんのよ」
「…」
いや
いやいやいや。それ、俺の台詞じゃね?どっちかって言えば。何見てんだよ。つか何勝手に人の部屋…じゃねえな。そもそもココはどこ…
あ。
もしやここ、アナタ様のお宅?だとしたら、ひょっとしてあなたが昨晩のお相手…
うっわ、マジか。やっぱアレ?よく昼ドラなんかである例の“酔った勢いの一夜限り的なアヤマチ”ってヤツ?やっちゃったの?俺。マジで?
「…」
「…何なのよ、さっきから。ジロジロ人の顔見て」
「えっと…。失礼ですけど、アナタ、は…?」
「は?」
「あの~…ココは一体…?」
「…まだ寝ぼけてんの?」
「…」
いや。どうもそう言うんではなさそうだぞ。てかそういった甘い記憶も感覚も、これっぽっちもないし…。たぶんそういう過ちは犯してないよ、自分。残念ながら(でも少しホッ)。
となると~…なんだ。マジでこれどういうこと?ドッキリ?にしてはちょっと、あまりに演出が懲りすぎてる。だって俺いつの間に脱がされた?って話でしょ。薬でも盛らなきゃさすがにパンツまではさ。や、酒でも十分かも知れんが(笑)。相当後半なら、何されても覚えてないかもしんねえし。むしろ熱くなって勢い余って自ら脱いだ可能性の方が…。
うん。それは自信ある。いや、自信はない。えーと…相当飲んでたとしたら、服をキープできる自信は、正直ない。でも俺、見ず知らずの女性とどうこうなるほど節操なくないよ。どんなに酔ってたって。そこはかなり警戒してるし。
だから彼女とそういった関係は持ってないと思う。それは、自信がある。ホントに泥酔してたとしても。