第19章 回帰

「大体、姉様も本当に嫌なら断ればよかったのよ。あんな…何考えてるかわかんないボンボン…」

…ボンボンって(笑)。それ言うならあなただって相当ですよ、お嬢様…。

「そんなに、ヒドイお方なんですか？」
「ヒドイ…かどうかはわかんないけど。私だって直接会ったのなんて数えるほどだし。でもぽやーんとしてて頼りなさそうなのは確かね！」
「そうでございますか。それは、心配ですね…」
「そうでしょ？そうなのよ！たいして仕事もしないでフラフラ旅して回ってるんだって。釣りしたり絵を描いたりして？ほとんど家には居ないって聞いたわっ」
「…」

ハテ。どこかで聞いたような…

というよりあの人しか思い当たらない(笑)。


「あれでホントにオオノコーポレーションの跡継ぎが務まるのかしらね？」


…やっぱり(笑）。

てか、お嬢様は人のこと全然言えないんでは～…？


「…もしかしたら、天才肌のとても穏やかな人物かもしれないですよ」
「まあ…そうかもしれないけど。悪い人ではないようだし…」
「きっと優しい方ですよ。なんせお姉様が嫁ぐほどのお人なんですから」
「…」

うん。たぶん、間違いなく優しい人だと思うよ。会社の跡継ぎとか、結婚に向いてるかどうかは…ナンとも言えないけど(笑)。