【S】Moebius Ring~目覚めたら執事!?~
第2章 幕開け
朝食を済ませ、お嬢様は大学へ行く準備のため自室へ。俺もとりあえず後ろ着いてったんだけど、続けて部屋入ろうとしたらすんごい顔でドア閉められまして。ええ。どうやら着替えのお手伝いは不要らしいです。
「あ~…早くもヒマになってしまった…」
そもそも、これどういう系の夢なのかわかってねえしな、俺自身。そこ選べるんならもっとスゴイの観てるよ?たぶん。まあ…ここでの公言は控えさせていただきますけども。いや、俺にも一応イメージってモンが…。
でも、もしラブロマンスだったとしてよ?その相手、まさか美羽お嬢様?執事と主の禁断の恋的な?
い~や~…。それどうよ。結構下だし。そもそもそういった魅力ってのは…ま、なくはないよ。かなり綺麗な部類ではあるし。でも俺的には、あくまで俺としては、彼女とはそういった展開はさほど期待してないというか…。
うん。失礼ながらお嬢様。わたくし、そういったジャンルよりはむしろ、それこそ謎解きのようなワクワクできる展開を期待しているようでございます。例えば甘ったるい男女の喘ぎ声ではなく、こう、絹を裂くような悲鳴が――…
「ぎゃああああああああああっ!!!!」
「!!!」
ひ、悲鳴!?
絹…というよりは木綿を破いたようなドスの効いた声だったが…
でも今のは間違いなくこの部屋から。
美羽お嬢様の声っ!!!
バンッ!
「どうされました、お嬢様っ!?」
そう。
その美羽お嬢様の野太い声が、奇しくも事件の幕開けだったのでございます…。