第1章 砂漠の月00~70
元就の顔をぶん殴ると歯を食い縛って此方を睨む。
ちょ、お前な。カウンターで軽く鳩尾に蹴りが入ったぞ、無意識か!
「…市を頼むな」
「抜かりはない」
あー、何か色々考えてたの馬鹿らしくなった。
俺は市の幸せを考えれば良いだけじゃねえか
ばりばりと頭をかいてから、元就の左頬が赤くなっている。
「強く殴り過ぎたか」
「其方の心が晴れれば良かろう」
「おうい、元就。冷やした手拭いだ。兄弟喧嘩は終わったか?」
兄弟喧嘩なあ、まー強ち間違っちゃいねえけど
敵わないなと、軽く溜め息を吐いた。まあ、昨日今日に比べたらマシか。
「月子明日来るかねえ」
「其方は本当に馬鹿よな」
急に罵ってくるな、急に。