第1章 砂漠の月00~70
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昨夜のうちから婆娑羅者の間で内密に動く影があった。
月子にバレずに。そう言われて動く者達を率いるは織田の市
ふと誰かに肩を引かれてから、他の誰かにぶつかりそうだったと気付いた
「あ、ありがとうございます」
「please do not worry 怪我が無くて何よりだ」
じゃあな、とさり気なく助けた者を見て、月子は驚いた。
「え、え、市先輩のお友達の」
武将の名前の方だ。そう零すと同時に、誰かが舌打ちするの音が聞こえた様な気がした。
「政宗が?」
「はい、お礼を言う前に行ってしまったので」
「ふふ、気にしなくていいよ。ね、晴久」
「まあな」
昼休み、そう聞いた市と晴久は、婆娑羅者に通達した作戦が成功したのだと安堵した。
常時、政宗が助ける事は出来ないけど、他の者にも協力をお願いしたから
佐助、かすがも見てくれると言った。
小太郎には危害を与えようとしてる生徒の目星も着いたと武将LINEで顔写真も公開されたので
流石伝説の忍、仕事が早いと感心する
あとは月子ちゃんに知られずにどう排除するか
「市先輩?」
「市?」
「ん?」
名を呼ばれて視線をスマホから離すと晴久に「顔が怖い」と言われて。
ありゃ、顔に出てたか。ごめんごめん
いつもの様に笑って誤魔化した。
とある校舎裏で、3人の女子生徒が苛立った顔で壁を蹴る
「くっそ、あの女何なの。伊達先輩に庇われていい気になって」
「私は風魔先輩だった、何だろうねあいつ。お姫様気分かよ」
「ねえ、明日あいつ呼び出そうよ、いい気になるなって」
「ほう、誰をどうするんだ?」
「小野月子を少し痛めつけてやろうって言ってんだ…え?」
はと、目を見開いて周囲を見る。自分以外に聞こえた声は凛としていて
驚く3人の頭上から金色の輝きが降りて来た
「自分を磨くことも出来ない愚か者に身内を傷付けられるとはな」
「う、上杉先輩!?」
何で、どうして
己たちが犯した事が間違いだというのか。
「拙い脳みそでは愚かな事を仕出かした自覚も無しか」
全て証拠は残っている。元就の放った写真は己が月子を傷付けようとした行動の一部始終捉えた写真で