第2章 砂漠の月71~150
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水着を買った数日後、市は武将LINEで海の前に温泉プールがあるスパ施設へ一泊で遊びに行こうと提案してきた。
車は引率を申し出ていた雹牙と当然のように黒羽が運転手で名乗り出て、市たちは首都圏にある温泉プールがあるスパ施設に来ていた。
「ふわぁ……おっきいだなぁ……」
「本当、大きいねぇ。それに、お風呂以外にも室内プールとか、展望プールみたいなのもあるみたい」
「楽しみだな!」
「うん!」
「じゃあ、着替えましょうか」
「「はーい!」」
スパ施設のロビーで、案内のプレートを見ながらはしゃぐ月子といつきを微笑ましげに見ながら市が早速プールに向かおうと誘うと、二人は元気な返事をして歩き出す。
宿泊施設を借り切るかという兄の言葉に、ホームページでその規模を確認した市が丁重に断りを入れて部屋を必要数予約して一泊することになっていた。
この施設にはホテル部分と日帰りでも利用できるスパ施設、子供向けだが大人も遊べる祭りを再現している館というのもあるらしく行く前からはしゃいでいた。
泊まりの荷物はホテルマンに部屋へ運んでもらうよう頼んで水着の入った鞄を手に持つと、揃って早速更衣室へ向かう。
女性陣が前を歩いてキャッキャと会話するのを男性陣が和やかな気分で眺め歩く、平和な移動である。
「……や、やっぱりちょっと恥ずかしいです。市先輩みたいに着こなせない」
「市も月子も似合ってるぞ」
「かすがも流石デスネ」
「皆、よくお似合いだ」
「みんな、可愛いだよ!」
女子更衣室で着替え終わった市たち五人は、それぞれ水着を褒め合いなら更衣室を出て行く。周囲の女性から色々と注目を浴びていたが今更気にする人間は誰も居ない。
更衣室を出ると元就を筆頭に晴久、政宗、元親と雹牙、黒羽が既に着替えて待っていた。女性陣は温泉施設だからとパーカーは羽織らずにいたが、男性陣も似たような考えなのか海パンのみで綺麗に筋肉が付いた上半身を晒している。
そんな様子に頬を赤らめたのは月子だけで、月子以外のメンバーは何事もない様に男性陣に近づいていく。幼馴染としての月日は強いなぁ……と、月子がほんのり羨ましがったのはココだけの話である。