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砂漠の月

第2章 砂漠の月71~150


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学校はもうすぐ春休みを迎える所で、最後の学年末テストが待ち受けていた。
今回のテストもテスト期間に入った日から市たちの教室に呼ばれ、月子も混じりながらテスト勉強をしていた。

「今回のテストで1位の人に、春休みの旅行の行き先を決めて貰います!」
「なんだよ、突然」
「なんか、今思い付いたから」
「ヒヒッ思い立ったら即行動は相変わらずよナ」

ふと、文字を綴る音の合間に唐突に顔を上げた市が宣言した。
同時にLINEの通知音が響き、市が宣言した内容がそのままタイムラインに流れた。
次々と反応が返ってくる様子を見ていた月子は、皆さんノリが良いなぁ、と呑気だがくるりと顔を向けた市に宣言されて目を見開く。

「月子ちゃんも参加よ。点数比べましょ」
「ええっ?! わ、私はどこでも……」
「ダメ。参加ね」
「うっ……はい」

まさかの自分の参加をも宣言されて、戸惑いつつもこっくりと頷くと勉強は再開された。
月子は課題をこなしながらわからない部分を周囲の手が止まっている時に聞いたり、帰宅後に元就に教えてもらったりとして気付けばテストは本番になっていた。

「いやぁー! ちょっ、誰かこれ教えてぇー!」
「おーい、もうすぐ先生来るぞぉー!
「待って! 待って!」

ガラッとドアの開く音がして教師が入ってくる。
月子の周りに集まっていたクラスメイトたちも諦めて席に戻っていく。
教師の配る答案を回しながらテストが始まった。
一日三教科ほどで三日ほど続く試験はあっという間に終わっていった。
終わったー! と叫ぶクラスメイトたちの中、最終日の今日も教室に晴久が顔を出した。

「月子、帰るぞ」
「はーい」
「毛利さん、また明日ね!」
「うん、また明日!」
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