第2章 砂漠の月71~150
荷物を受け取る場所は市が座るソファも月子が向かう化粧室もすぐ目と鼻の先だ。いくらクロークの方を向くとはいえ、そんな一瞬でと思っていた市と月子はこの二、三分の間でその場から連れ去られることになる。
市は元就の歩く背を見ながら、何故か抗えない急激な眠気に襲われて一瞬気を抜いた瞬間にことりと眠りに落ち、月子は化粧室を出ようとした瞬間に口と両腕を抑えられ暴れることも出来ずエレベーターへと引きずり込まれた。
元就と晴久が戻った時には、そこに二人の姿はなく盛大に舌打ちすると直ぐにホテルの支配人を呼び出したのだった。