第1章 真っ白な世界で
「俺?俺はね〜〝カグラ〟って名前だよ。カッコいいでしょ〜♪」
しばしの沈黙
「…中二病かよ…」
「えっ⁉︎俺、中二病なの?親がつけてくれた名前を名乗っただけで?」
変な男もといカグラさんに肩をガシッと掴まれて前後に揺さぶられる。
「すみません。謝りますから離してくれませんか…」
どさくさにまぎれて鼻水を私の服でふいてくるカグラさんの頭をひっぱたく。
「ひどい‼︎名付け親のことをひっぱたくなんて‼︎」
「人の服で鼻水をふく人には何も言われたくないです。」
もっともな事を言っている私に対してカグラさんは文句を言い続けている。
「子供ですか‼︎」
「子供じゃないもん!俺、もう18だし、電車もバスも大人料金払ってるし!」
そう言うとカグラさんはプイッとそっぼを向いてしまう。
これは私が悪いのか?いやいやそんな事より聞かなければならない事があったんだ。
聞いたところで信じるかどうかは別だが…。
「あの…そんな事より、私はなんで記憶の無い状態でこんなところにいるんですか…しかも目の前にいるのはカグラさんですし…」
「えっ⁉︎ウタちゃん会ってまだ数分の俺をそんなにディスる⁉︎」
「質問に答えてもらえますか?」
「ノリ悪いな〜ウタちゃん。もっと乗ってきなよ〜♪」
私が無言で見つめていると小さいため息をついて少し面倒くさそうに話し始めた。
「俺も詳しくはわからないけど…ここにいるって事はウタちゃんは〝死んだ〟んだよ。」
「えっ…?」
カグラさんの言っていることが理解できない。私が死んだ…そんな事あるわけ…
「あるわけないっておもってる?でも事実だよ〜♪しかも俺が迎えに来たって事は死因は自殺だね〜。」
「なっ⁉︎なんで私が自殺なんてするんですか‼︎ふざけたこと言わないでください!」
苛立ってカグラさんの襟元を掴む。