第2章 【R18】少年とフェンリル
『だって…お前、可愛すぎんだもん……』
「…何…それ……」
『登場人物が俺に似てるから、あの本、何回も読んでるんだよな?
そんなの、あんな嬉しそうな顔で言われたら、堪んないだろ…』
甘く囁いた恋人は、つられるように頬を染めた私の、涙に濡れた目元を拭い、優しく両腕の中に私を閉じ込める。微かに聴こえる鼓動の速さに、どうしようもないほどの愛しさが溢れ、自然と私はフェンリルの背中に手を回していた。
『なあ…怖い思いさせた分、優しくするから…もう1回やり直させて…』
耳元に感じた熱い吐息に、私は静かに首を縦に振ると、優しく頬を両手で包まれて、じっと見つめられる。恥ずかしいのに、バイオレットの瞳から目を逸らすことができない。ゆっくりと顔を近付けられて、私はそっと目を瞑り、大好きな優しいキスに身を委ねた。
『…ん…ぅ……っ』
最初は様子を見るように、啄むように繰り返されていたものが少しずつ熱を持ち始め、次第に深くなっていく。それでもさっきのような荒々しさはなく、フェンリルの気持ちがそのまま流れてくるようなキスに、私はぞくぞくと身体の芯から湧き上がる甘い感覚に酔いしれる。
『…っは…、フェン…リル……っ』
「…ん……可愛い……」
言葉を伝え合う時間さえ惜しいというように、すぐに口を塞がれ、フェンリルの熱い舌が私の口内を探って、歯列をなぞる。ふっと力が抜けてしまいそうになるが、すぐに逞しい腕に腰を支えられ、そのまま私は、その舌に、愛しい恋人の気持ちに答えるように自分のものを絡ませ、息さえ忘れるほど、深くキスをした。
そして、ちゅっと音を立てて離れたフェンリルの口から告げられる。
「…なあ…、今夜はこのまま可愛がりたいんだけど…いい?」
私は甘い夜が始まる予感にぞくりとしながら、こくりと頷いた。