第2章 【R18】少年とフェンリル
『うぅ…今日は一段と冷えるなあ……』
クリスマスも終わり、後は年が明けるのを待つのみとなったある日の夜。夕食を食べ終えて、シャワーを浴びた私は談話室で暖炉にあたりながらお気に入りの本を読んでいた。
(年甲斐もなくファンタジー物を選んでみたけど、結構面白いんだよな、これ…)
その本は、2ヶ月程前に街の本屋さんでたまたま見つけたものだった。普段は目につかないはずのファンタジー小説だったのだが、何故かその本に心を惹かれ、思わず手に取ってしまったのだ。
内容は、ある小さな町に住む少年が、魔王に攫われた幼馴染の少女を救うべく、妹と共に冒険の旅に出る、という非常にありきたりなものだ。
話自体は1冊で収まってしまう程の短いものだが、ストーリーや登場人物の台詞回しが好きで、何度も読んでしまっていた。
何よりも、
『この男の子…フェンリルに似てて凄く好きなんだよね……。』
「誰が俺に似てて好きだって?」
『ひゃっ……!』
急に耳元に聴き慣れた声が響いて、私は思わず本を落としてしまった。
「あー、悪ぃ悪ぃ
驚かせたか?」
『もう!驚くに決まってるでしょ!』
隣から私の顔を覗き込んだフェンリルは言葉とは裏腹に申し訳なさそうな表情は一切せず、にやりと笑っていたずらが成功した子供のような顔をしていた。
それが何だか悔しくて、私は頬を膨らませてそっぽを向いた。
「なー、ごめんって
拗ねんなよー」
そう言いながらフェンリルは私の膨らんだ頬を指でツンツンとつつく。
私は意地を張ってそんな可愛い恋人の甘い声と行動に顔を崩さないよう、ひたすら耐えていた。