第5章 【R18】寂しさの行方(カイル×アリス)
"…ル…ごめ……"
"……んん………!"
聞いてしまったその声とこの光景を見て、恋人である俺はどうするべきなのか。
1週間という長い出張を言い渡された俺は、できる限り早く帰るべく、時間が指定されている会議などの予定以外の仕事をいつもよりハイペースで片付けた。
結果、1日早く帰って来れたのだ。
もう夜も更けていたが、彼女の寝顔だけでも見たかった俺は、兵舎に戻って自室に荷物を置くとすぐに恋人の部屋に向かった。
兵舎にもう明かりの灯る部屋はなく、しんと静まり返った廊下に俺の足音が響く。
目的の部屋の前で歩みを止めた時、中から本当に微かに声が聞こえた気がした。悪趣味だと思いながらも、扉に耳を当ててその声を聞く。
謝りながら自分の名前を呼ぶ彼女の声を聞き、ドアノブにかけた手を回しかける。
が、手を止める。何故謝るのかが分からなかったが、中には1人しかいないようだから、浮気、ではないだろうと判断したのだ。
しばらくして、全く音のしなくなった部屋に恐る恐る入ってみると、そこには、俺の予備の白衣を着て、着衣の乱れたまま眠るエルがいた。
「…おいおいまじかよ……」
思わず口元に手を当て、赤くなっているであろう頬を冷まそうとする。
が、そんなことができるはずもない。
俺も、1週間近く彼女に触れていないのだ。
こんな状態の恋人を見て、我慢しろという方が無理な話である。
「…寝込みを襲う趣味はねーんだがなー…」
小さく呟いた後、ギシッと音を立てながらゆっくりとベッドに上がる。2人分の重みでマットはより深く沈んだ。
彼女の両脇に手をついて身体を跨ぎ、すやすやと眠る顔を見下ろす。
少し乱れた髪を直してから前髪をあげ、額にキスを落とす。ちゅ、という音を立てて、瞼、頬、鼻、と順番に触れていく。
そして、彼女の息を感じる程の距離で一度止まり、指の背で頬を撫でてから、優しく唇を触れ合わせる。
その瞬間、彼女の身体がピクリと動き、瞼がゆっくりと開いた。
「…よー、一人で随分とお楽しみだったようだなー……?」