第9章 あの子。【青峰 大輝】
「なに!? あ、汗‥‥汗かいたから‥‥やめっ‥‥あっ」
「もうなんでもいいからよ、ここでしようぜ」
信じられない言葉に目を見開くと、その目には興奮が混じっていた。
け、ケダモノ‥‥!!
「やめっ‥‥やめて‥‥」
「おまっ‥‥逃げんな」
「やだ、こんなとこで‥‥」
「なにお前、初めて?」
「だからなんなのよ」
「まぁオレも初めてだけど」
「は!? 経験なしにここでする気だったの!?」
「んなの関係ねぇだろ」
「あるわ!!!! アホ──っ!!」
じたばたと暴れて、運よく左足が彼の脛を蹴った。
「いっでぇぇぇえ!!!!」
「は、離してって──」
なんとか腕の中から脱出して、はだけた制服を直す。
「おまえ‥‥このやろ‥‥」
「ちゃ、ちゃんとしたいの! はじめてくらいは、ちゃんとしたい!」
「‥‥‥」
「めんどくせぇって思ったかもしれないけど‥‥青峰くんとヤるんだったら、ちゃんとしたとこでヤりたいの‥‥!」
「!」
いそいそと制服を直す。
目を点にした青峰くんは、その様子を呆然と見ていた。
「‥‥な、何よ‥‥」
「‥‥‥やっぱ限界。むり。ヤるぞユキミ」
「だぁぁぁぁ!!!!」
何なのこの変態!!!
桃井with青峰&ユキミ────---
「あれ? 大ちゃん! どこ行ってたのよー」
「なんでもねぇわ」
「ん? えっと、倉永さん?」
「し、知ってるの? 私のこと」
「勿論! 青峰くんがよく、
『あいつ胸ねぇけど、守りたくなるやつなんだよ』
って一人でぶつぶつ言ってたからね♪」
「!」
「おまえ! 言うなよそれ!!!」
「えー?」
赤くなってた青峰に心底惚れてしまったユキミちゃんでした。
「言ってたけど文句あっかよ!!?」
「無いけど、胸がないってどういうこと?」
【END】