第2章 明日またね。 【宮地 清志】
───体育館───
早いもので・・・もう年明け。
WCも終わり、長いようであっという間だった3年生の先輩たちとの部活生活も終わりを告げた。
敗戦したその日は涙なんか一滴も流れなかったのに・・・
・・・引退だって考えると目尻が熱くなる私は薄情かな。
年越しは部室の掃除と自分の部屋の掃除に時間を費やした。
黙々と掃除しているのを他所にはしゃぎまくってた高尾くんたちには流石に苛っとした。
年明けは初詣と部活。
おみくじを引くのにラッキーアイテム持ってきていた緑間くんには流石に感心してしまった。
占いに占いで対抗してくるとは。
「───」
「ユキミちゃーーーん?」
「っ!!!?」
「おわっ!?」
な・・・・・・なんだ・・・高尾くんか・・・。
「なにボーッとしてんだよ? 壁にぶつかるぜー?」
「そ、そんなヘマはしない」
「・・・ついさっき扉に激突してたの見てたからな。説得力ねーよ(笑)」
「・・・み・・・見てたのか・・・」
ここ最近、部活に来ると頭がボーッとしてしまう。
周りを良く見てる高尾くんにはバレてたんだな。
「・・・・・・ね、高尾くん」
「おー?」
「先輩たちが居なくなっても・・・・・・
私たち・・・やっていけるかな」
「・・・・・・・・・・・・・・・似合わねー」
「っに、似合う似合わないじゃないでしょ大事な話してんのに!!」
「うおっ、ごめん、マジごめんって!
怒んなよー」
「・・・ったく・・・」
この男は・・・。
「・・・・・・・・まあ、不安はあるけどさ」
「?」
「マネがそんな顔すんなよな! っと」
「!!」
振り向き様にデコピンをかまされた。
眉間にジンジンと違和感を感じる。
「な、」
「新生・秀徳バスケ部の姐さんはユキミなんだからな」
───
「・・・・・・・・・痛い」
「ははっ、ごめんごめん・・・・・・
・・・ってえぇ!? な、泣くなよ!」
「っ・・・」
「・・・みや・・・に・・・られるな・・・」
「?」
何を言ったのか聞こえなかったけど、
違うんだよ、高尾くん。困らせてごめん。
痛すぎるんじゃなくて、──嬉しいだけなの。