第9章 あの子。【青峰 大輝】
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目が‥‥熱い。つか痛い。
泣きすぎた‥‥?
屋上へと続く階段にしゃがむ。
ここは生徒立ち入り禁止だけど、みんな入ってるし教師も見て見ぬふりをする。
いつもは屋上に青峰くんがいるけど‥‥
居ないのを確認してからここに座った。
「‥‥‥ふぅ‥‥‥」
夏。
青春、真っ盛りの夏に、
私は何をやっているんだろう‥‥。
あの子はいつも可愛い。
顔も、気が利くところも、全部。
私とは大違いだ。
「‥‥‥ははっ‥‥自虐なんてウケないっつーの‥‥──」
──影が降りる。
日が傾いて、濃くなる影。
誰か、いる。
顔を上げると、影と同化してしまったかのような人が立っていた。
「──あ──」
「──青峰くん!?!?」
「‥‥‥何してんだよ、お前」
心底眠そうな顔。
これから屋上で寝るつもりなんだろうか。
「あ‥‥あの──」
──ギィ──
私を通り越して、彼は進む。
慌てて(何故か)引き留めようとしたけど、聞こえてなかったのかスルーされてしまった。
「‥‥‥ん?」
‥‥‥ドア、開いてますけど‥‥?
何事もないように、彼は梯子を登っていってしまった。
え‥‥‥
「‥‥‥入っていいのかな?」
ん? でも図々しくないか?
閉めるの忘れただけかもしれないし。
とりあえず閉めとくか──
「おい」
「!」
「入るなら早く入れよ」
「えっ」
閉めようと扉に手をかけると、頭上から声が降りてきた。
姿は見えないけど‥‥‥入っていいってこと?
「‥‥‥青峰、くん?」
「‥‥‥んだよ」
はしごを登ると、こちらに背を向けた彼がゴロリと寝転がっていた。
「失礼しまーす‥‥」
うわ、風強っ。
スカート捲れるわ。前髪割れるわ。
女子としては最悪な場所だな、屋上。
「‥‥‥青峰くん、部活は?」
「‥‥‥試合で勝てるんだから、やんなくてもいいだろ練習なんて」
「へー‥‥そういうもんなの?」
「俺ん中ではな」
やはり、実力者は語る‥‥というものか?
「‥‥‥どうしたの?」
「‥‥高校生でペンギンパンツはどうかと思うぜ」
「‥‥‥‥‥‥は?」
今日の朝、確か‥‥
‥‥‥
「──こんっっっの、変態───!!!!」