第7章 INTOXICATION 【灰崎 祥吾】
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「──さいってー・・・
・・・でも、そういう所も好き」
そう告げて、私は微笑んだ。
最低な男ほど、女は燃える。
自分のものになったら、最高だから。
私のものになったら、最高の男なの。
──灰崎side───---
「ユキミ~」
「ユキミちゃーん」
「ユキミ~!」
あーあーごちゃごちゃうるせぇな。
ユキミユキミって・・・アイスかよ。
屋上で寝ていたオレの耳に入ってきた黄色い声は、どうやら男に対してでは無いようだった。
身を乗り出して声のする方へ視線をおくると、そこには他の高校の制服。
あれは・・・ここら辺の女子大付属高の制服か。
かなりの顔面偏差値が高ェとこだ。何人か落としたことがある。
だけどそいつは・・・見たこともねぇ顔だった。
「ユキミちゃん、一緒帰ろうよ~?」
「ご、ごめんね、今日バイトで・・・」
「どこだっけ? ユキミのバイト」
「ここから近くのスタハだよ」
「えー、行く行く!」
・・・女にも取り巻きって居るのか・・・。
珍しいもんだな。
この屋上にまで聞こえてくる歓声に、どうやらそいつは困っているようだった。
もう夜遅いから、とか
彼氏が待ってるから、とか
そんな理由で毎日そそくさと立ち去る。
毎回毎回、遠巻きに迷惑がってることに気づいてねぇのかアイツ等。
これだからバカな女はうぜぇんだ。
「ユキミー!」
「!!」
・・・またかよ。
ボーッと、興奮してる女共や、その女を見ていると、あることに気づいた。
・・・熱、あるのか?
どうも様子がおかしい。
フラフラ・・・とまではいかないものの、目が虚ろだ。
こっからでも分かるほど虚ろなのに・・・
なんで分かんねぇんだ? 頭イッてんのか?
それによォ・・・あいつもあいつで、どうして「黙って消えろ」とか言えねぇんだ? イイコちゃんなの?
ムカムカと沸き上がる感情。
珍しく「ラ」が「カ」になった感情だった。
だけどなァ、オレとお前は無関係なわけ。
義理もねぇし、優しさもねぇよ。
フッと鼻で笑って、オレは屋上を出た。
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「それでねぇ、ユカがぁ~」
「あは、は・・・」
ったくよォ・・・校門の前で話してんじゃねぇよ。
「───おい」
目に留まっちまうだろ。