第1章 いちばんよるがながいひ 【赤司征十郎】
___赤司邸___
・・・慣れと言うのは怖いもので。
この一人部屋にしては広すぎる明るすぎる赤司様のお部屋でも、グータラできる人間になってしまった16才、倉永ユキミ。
「・・・ねー、赤司さーん」
「・・・ん? なんだい?」
「・・・・・・今日ってさ、なんの日だか知ってる?」
なんて。私も知らんが。
「・・・・・・冬至らしいな、今日は」
「トウジ?」
え、何かの日だったの今日って。
「昼が短く、夜が最も長い日らしい」
「あー、冬至ね」
今日だったんだ。冬至。
「・・・まだ4時なのにこんなに暗いのも、そのせいかな?」
「そうだろう。もし何かあれば送っていくよ」
「相変わらずの紳士っぷり・・・」
そして相変わらずその紳士っぷりにドキドキしてしまう私・・・。
暖房カーペットの上でゴロゴロと転がりながら、部屋を見渡す。
シャンデリア?っていうやつとか・・・
グランドピアノ、とか・・・
白が基調のカーテンとか・・・
すべてが赤司くんに似合ってる。
この空間にいる赤司くんを画家に描かせたいほど似合ってる。
「・・・・・・?なんだ?」
「・・・ごめん、何でもないよ」
ソファーの上で雑誌を読んでいた彼も、もう集中が切れたのか、床にゴロンと寝転がった。
「え、痛いでしょ、起きて」
「自分の部屋だ。気にするな」
そう言われてみればそうか。
私が心配するのも変かなと気がついて、隣にゴロンと寝転がった。
背中から伝わる電気の暖かさ。
窓の外では雪がチラチラ降っていて、なんだか「冬の幸せ」ってテーマのCMの現場みたいだ。
もう何度訪れたかも分からない広い広い部屋。
初デートは確かここで、その次のデートもここで・・・・・・・・・あれ、ここしか来てなくね?
まぁいいや。そんなことより、さっきから視線が気になる。
いや気のせいかもしれないんだけど、気のせいだと思いたいんだけど、どうやらそういうわけにはいかないようだ。
「・・・どした」
「・・・ついこの前も、こんな風にゴロゴロしていたなって思い出してね」
「!!!!」
ボッと。
顔に急激に熱が集まってきた気がした。
ついこの前───つまり12月20日のこと。
そう、赤司くんの誕生日。