第3章 お風呂掃除【黒子 テツヤ】
シャワーから温水が流れる。
まだ日も沈んでいないうちから、
お風呂に入るのが最近の日課。
誠凜高校を卒業して早2年。
都内の大学に進学した私は、一人暮らしを始めた。
小学校が同じだった彼と高校で再会し、会わなかった時間を埋めるように一緒に過ごしていたら・・・
・・・いつのまにか付き合っていた。
勿論、告白はされたけど!
私だって何も思わずに傍に居たわけじゃないし。
初めて火神君に付き合ってること伝えたら顎外れるほどビックリしてたなぁ。
『マジかよ!』
それしか言ってなかった。
そりゃそうだ、部活は同じでも話すことはほとんど無かったから。
どちらかと言えば火神君と話す方が多かったし。
マジかよコールを叫びながらも、頑張れよと言ってくれた。
周りの支えもあったから、今も幸せなんだろうなぁ。
「・・・って、懐かしがってる暇ないじゃん。早く掃除終わらせよ」
出しっ放しのシャワーから流れる温水は丁度いい。
実家暮らしから愛用しているスポンジを濡らした。
──今日は、泊まりに来てくれるから。
だからこんなに張り切ってるんだろうか。
────────---
──ピーンポーン・・・
「!」
チャイムが部屋中に鳴り響いて、ついでに言えば心臓も鳴り響く。
さすがに・・・緊張はするもんだよね?
「い、いらっしゃいマセ!」
「・・・お店ですか、ここ」
あああ初っぱなから引かれた!!
白けた目を向ける黒子。涙流れそう。
「ごめん・・・キョドった。どうぞ入って」
「お邪魔します」
泊まりにしては荷物少ないな・・・なんて思ったけど、男の人はこれが普通なのかな。
わざわざ聞くもんじゃないよね。
・・・こんな変な事考えてしまうほど緊張してるのか・・・私よ。
「・・・会うのも久しぶりだね」
「そうですね。お互い忙しかったですし」
「うん・・・・・・それにしても・・・黒子が居るとやっぱり安心しますなあ」
「?」
「え、ちょ、引かないでよ。あれだよ、家に男の人が居るのって安心するじゃん」
「男なので分かりません」
ガーン。
変態発言したみたいじゃん! そんな意味合い込めてないのに!
「くうっ・・・」
久々に会ったって言うのに・・・こんなんじゃ幻滅されるかもな・・・。
情けなくなって、涙が出てくる。