第2章 ◆Dear◆(妹サイド)
「…姉様、なんだか頼もしくなった」
「そ?やっぱり…“母は強し”じゃない?」
「フフ」
「ふふふ…。…うん。大事なものが宿ったから、もう、何も怖くない。ちゃんと、歩いていける」
「…」
「堕ちた先は地獄じゃなくて、更地だったってカンジかな。これからはきっと、私しだい」
「?ふぅん…?」
「んふふっ」
「姉様、強いね」
「そう?」
「うん。それにひきかえ…やっぱダメね、櫻井は!」
「どうして?」
「だって。姉様に失恋したから傷心旅行なんて。ヤワすぎるじゃない」
「…フッ、あははははっ」
大笑い…
「は~…ホント美羽ってば面白いんだからぁ…。誰に聞いたの、そんな…。傷心旅行なんてものじゃないわよ。休暇でしょ?」
「でもっ」
「まあ、ずっと私の専属だったから。リセットする時間も必要だ、って。お父様の配慮でしょ、きっと」
「…半年間も?」
「お父様、太っ腹だから(笑)」
…確かに。最近は見た目からしてビア樽みたいな太っ腹…。