第2章 ◆Dear◆(妹サイド)
「あ、えっと。…スゴイ人、だね…」
「すごい人よ~。個展だって何回も…。お絵かき、なんて言ってるけど、ホントにスゴイ絵描くんだから。穏やかな人柄からは想像できないような細かいタッチでねぇ…」
「あ、うん。そうじゃ、なくて…」
「?」
やっぱり、どーしても気になるから、聞いてしまった。好きな相手とじゃなくても、できるものなの?って。つい。
「…美羽はまだ経験ないんだっけ」
「ん、うん…」
「私も不思議なの。やっぱり好きな人とって、思うじゃない?普通」
うん。
「でも…彼との結婚はもうずっと前から決まってたことだし。たとえお互いに違う人が好きだったとしても、それはもう変えられないことだってわかってたから」
「え。じゃ、もしかして旦那様も…?」
「それは聞けないわよ、さすがに」
「…うん」
「何て言えばいいのかなぁ…。ん~…。“諦め”?」
「あ、諦め…」
「お見合い結婚だとこういう風なのかな?って。そういう感じ(笑)」
「ふ、ふうん…」
…全然わかんない。