Welcome to our party abr 気象系BL
第20章 真夏の雨 by millie
それが初恋だったの気付いたのはあの人と逢えなくなってから…。
あの胸のドキドキが恋だと気が付いたときにはもう終っていた恋。
夏の暑い空気もセミの声も、突然の雨に濡れたアスファルトの匂いも…全部、覚えてる。
あの日、突然の雨に持っていた本を濡らしたくなくて…。
舗道に蹲った俺にそっと傘をさしてくれた人…。
灰色の空が彼の傘で青空になった。
「大丈夫?」
傘をさすその人は
「よく図書館にいるよね?
本、好きなの?」
って柔らかく笑った。
それから俺達は何度も図書館で会った。
図書館に行くといつも彼を探すようになった。
夏の終わり、いつもの図書館からの帰り道。
突然、彼が言う。
「翔くん、ごめんね。
明日からもう来れない」
それだけ言うといつものようにバスに乗っていってしまった。
それからいくら探しても…彼に逢うことはなかった…。
俺の初恋は幻のように儚く消えた。