第4章 大嫌いなサンタクロース
しょんぼりとしたキーボを元気づけながら、三人でリビングへと降りる。
もう一度王馬の熱を測ってみると、微熱程度には治ってきていた。
バラエティを見ながら、ケーキを食べる。
逢坂は、じっとテレビに出てくる出演者の言動を観察するキーボと、そのキーボを頭でっかちだなぁとからかう王馬を、眺めていた。
(………楽しいな)
数年ぶりに、1日の終わりに楽しいと思えたクリスマス。
少し口元が緩んでいる逢坂に、王馬が笑いかけた。
「熱出した時は最悪なクリスマスだって思ったけどさ、それなりにつまらなくない日になったよね」
王馬の言葉に逢坂は少し、笑ってみせた。
『………うん、楽しい』
王馬は満足そうに笑い、逢坂の言葉に頷いた。
キーボも楽しそうに笑い、逢坂の言葉に頷いた。
「おい、真似すんなよ!」
「えっ、すみません…」
『こら、喧嘩しないで』
12月の末、1年の終わり。
彼は嘘だよー、と笑い、逢坂も、安心しているキーボを見て笑ってしまった。
嘘をつき続ける彼のことを、今日はほんの少し、わかった気がした。
こんな日がいつまでも続けばいい。
そんなことを、ぼんやりと考えた。