第2章 超高校級のロボット博士
王馬は、あざとい腕の位置を心得ているらしい。
可愛らしい体勢のまま、彼は大きなクッションに顔を埋めてウトウトとし始めた。
なんだか今日は、とても長い1日を過ごした気がする。
ふと外に視線をやると、逢坂の嫌いな雪がしんしんと降っていた。
「逢坂ちゃん」
『……ん?』
眠そうな声に呼ばれて振り向くと、こっちを向いた王馬がローテーブルの上に右手を投げ出していた。
小さな手をゆらゆらとさせている彼の意図が分かってしまい、ため息をついた。
『…おやすみ』
その手の近くに、逢坂の右手を置いた。
王馬は少しソファから身を乗り出してその手を掴むと、指先をしっかりと握ったまま目を閉じた。
「おやすみー…また明日も遊ぼうね……」
眠くて呂律の回らない口をなんとか動かして、王馬が約束を取り付けてきた。
答えないと、眠ってくれない気がして、わかったよ、と答えた。
逢坂の返事を聞いて、静かに、嬉しそうに笑う王馬の表情を愛しいと思った。
できることなら
この手をいつまでも離したくない
そう思ってしまった