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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第20章 あやまった探偵




羨ましい、と呟いた自分の言葉を反芻し、身体に力を入れて俯いている赤松さんの意図を察した。


(…え、抱きついていいよってことだよな…でも、そんなの出来ないし…あっ、でも天海くんがじっとこっちを見てる。断ったら断わったで赤松さんに失礼…なのか…?)


だって、あの天海くんがこっちを見て(はやくしろ)と言わんばかりの視線を送ってくる。

逢坂さん狛枝さんペア→確実に逢坂さんがケガをする
逢坂さん王馬くんペア→確実に王馬くんが勝ちにこだわる
逢坂さん最原ペア→確実に逢坂さんがのちのち困る

そんないくつものパターンを想像し、彼女を窮地から救った天海くんだ。
ダ最原が考えるようなことは既に考え済みに違いない。
てことは、やっぱり赤松さんの申し出を受けるべき?


「赤松さん」
「さぁ、張り切ってどうぞ!!!」


あぁ、赤松さんも変なテンションになってる。
きっとこの状況自体が恥ずかしくてたまらないに違いない。


「……えっと、じゃあ…」
「えっ?」

















ぎゅっと、目を瞑って、最原が赤松を抱きしめた。


(……なんだか、良い匂いがする)


そう思ったのも束の間。
赤松が突然、アニメなどで猫が尻尾を踏まれた時のような変な声を発した。


「……え?」
「さっささ最原くんな、なに!?なに!?」
「えっ?なにって…」
「きゃあああ耳元で話さないでーーーー」


やばい、間違ったらしい。
焦って最原が離れると、やっぱり想像通り、周囲のみんなの目がとても冷ややかだった。


「…最原くん、たぶんさっきのは、赤松さんはなでなでして欲しかったんじゃないっすか?」
「へっ!?そうだったの!?ごめん!!!」
「い、いやいや…いやいやいやいや全然……全然…」
「どうぞって言うから!!」
「たしかに!!私の言い方が悪かったね!!ごめんね!!むしろありがとうございます!!!」
「うわぁ最原ちゃんってやっぱ変態なんだねー、こわー」


再び変態のレッテルを貼られそうになっている最原と、レッテルを貼り直そうとしている王馬を交互に見て、逢坂はクスクスと笑った。


「本当は、超高校級の探偵じゃなくて、変態なんじゃない?」


最原は焦って振り向き、声を張った。


「それは違うぞ!!!!」


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