第17章 押しつけられた隠し事
かくして、ものすごい勢いで決まっていった体育祭選出メンバーが走り書きされた黒板を、茶柱が確認するように繰り返す。
◉赤組
赤松、天海、入間、王馬、真宮寺、東条、星、♡夢野♡
○白組
キーボさん、獄原、最原、白銀、春川、百田、茶柱、夜長、逢坂
●体育祭種目
・バレー(男女別)
・卓球(男女別)
☆バスケ(男女別)
☆障害物競走(男女混合)
☆50m走(各自)
☆リレー(男女混合、バトンは4つ)
女子バレー
白銀、茶柱、東条、春川、夢野、夜長
男子バレー
天海、獄原、最原、真宮寺、星、百田
卓球
男子
王馬、キーボさん
女子
赤松、逢坂
もはや覆る流れではないと察した王馬が、ひどく不機嫌そうに冷めた目で黒板を眺める。
和気藹々と「普通」のゲームを楽しもうなんて気はさらさらないのだろう。
それに加え、逢坂は白組で、彼の天敵である百田、春川は同チーム。
今一番気に食わないであろう存在の最原も、白組だ。
そして、このメンバーであれば、当然。
「逢坂、がんばろーぜ!」
『…う、うん』
「絶対白が勝ちますからね皆さん!さぁ張り切っていきましょー!」
「にゃははー、白組には神さまがついてるからねー。負けることなど、ありえませぬのだー!」
「あぁ…最原くん、地味に2人ともバレーに入っちゃったけど、お互い頑張ろうね」
「う、うん」
体育祭、頑張ろうと盛り上がっているメンバーの中で、一番仲がいいはずの最原を、必要以上に避けることなどできない。
これ以上王馬に怪しまれても面倒だと思い、逢坂は、数日ぶりに、最原に笑顔を向けた。
『……頑張ろっか、体育祭』
「……うん」
安心した様に、笑う最原を見て。
逢坂は、完全な被害者なのだが、少しだけ。
自分の中の罪悪感が疼くのを、たしかに感じていた。