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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第16章 見かけによらない





あの時と同じ。
腕の中に逢坂さんの体温を感じながら、また深く息を吸い込んだ。


『離して』


けど、やっぱりあの時とは違う。
まだキミが、彼だけを瞳に映す前は、抱きしめたって、名前を呼んだって、こんな冷たい言葉は返ってこなかった。


「………嫌だ」
『離れて。王馬に見られたくない』


キミにとって、この想いはもう邪魔なものでしかないのかな。
キミを大切に想うこの気持ちは、もうキミの中では必要のないものになっているのかな。


「……ごめん」


あぁ、情けない。
かっこ悪い。
物分かりのいい友達面を続けておけば、まだキミに必要とされたかも。


『……大丈夫、心配してくれてありがとう』
「違うよ」
『……?』
「謝ったのは、これからのことだから」
『……どういうこと?』


腕の力を緩めて、彼女の瞳を見つめた。
逢坂さんの透き通ったガラス玉のような瞳を、吐息のかかる距離で見つめて、もう一度。
ごめん、と彼女に謝って。




















僕は













謝罪の言葉を紡いだその唇で











彼女にキスをした



















『ーーーー最原……?』















唇が触れ合う直前、彼女が僕の名前を呼んだ











だから、願わずにはいられなかった




















(……………あぁ、もう)











今、この瞬間





































空から隕石が降ってきて、この世界をめちゃくちゃに壊してくれればいいのにって











「………逢坂さん」
























そしたら、キミと一緒に死ねるのに



























キミを僕の腕に抱いたまま















キミの瞳に、僕だけを映したまま













誰にも奪われることがない












そんな理不尽な死を、僕は
















僕は














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