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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第15章 変わり者の幸福論


「それは、どういうことですか?」
「春川ちゃんは何も知らないよ。それ以上余計なこと言うなら、オレも春川ちゃんの秘密、バラしちゃおっかなー」
「勝手にすれば」
「おいハルマキ!」
「ふーん。春川ちゃんは本当にオレが嫌いで仕方ないんだね…まぁ、自分が嘘つくの下手で手放すしかなかった居場所に、嘘つきのオレがいるんだもん。嫉妬するのは当然だよね」


でもさ、と王馬ははっきり、春川の言葉を否定した。


「利用したいだけっていうのは、違うかな。オレは雪ちゃんのこと大切だから、側にいるんだよ」


王馬はじっと逢坂を見つめて、逢坂もまた、王馬を見上げた。






「…ま、これも嘘かもしれないけどね。オレは嘘つきだからさ」





王馬は楽しそうに笑い、その真偽を掴めずにいる春川の視線から逃れ、逢坂に抱きついた。


「ね?雪ちゃん♡」


すぐ耳元で囁かれ、逢坂は返答に困る。
その距離感に驚いた赤松が、慌ててキーボの目を後ろから隠した。


「キーボくん見ちゃダメ!」
「いたたた赤松さん目に直に触れないでください!」
「えっ、そこの痛覚はリアルなの!?ごめん!」
「逢坂、確実にキーボの機能の優先順位間違ってねぇか…?」
『え、そうかな』
「眼球の痛覚つけるくらいならもっと人に危害を加えないように調整してよー、オレの頭きっとたんこぶ出来てる」


なでてーと頭を差し出してくる王馬に言われるまま、椅子が直撃したであろう部分に手を置いた。
たしかに、王馬の側頭部は、パイプ椅子との衝突で一箇所だけ腫れてしまっているようだった。


『………ぷっ』
「何笑ってんの?」
『……いや、わかりやすく腫れてるなって』
「笑うところ?」
『あ、そういえば見て見て、私の右眼グロいんだよ』


なぜか楽しそうにみんなをベッドの近くに呼び寄せる逢坂。
春川は王馬とにらみ合ったまま、百田に促されてベッドの側に来る。
キーボは心配そうに逢坂の顔を覗き込み、赤松は少し、どきどきしつつ逢坂を見つめた。


『じゃーん』
「「「「うわっ、グロっ」」」」


春川以外のリアクションが被ったことで、逢坂は楽しそうにカラカラと笑い、笑いごとじゃありません!とキーボに妥当なツッコミをいれられた。

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