第14章 歪な恋心
逢坂が階段から落ちた。
午後の授業が始まると同時。
チャイムよりも少し遅れて登場した教師から告げられたのは、新学期早々起こってしまった、校内事故についての一部始終だ。
逢坂は3階からの階段を慌てて降りようとした際に転倒、打ち所が悪かったのか意識がないため、緊急で希望ヶ峰学園の隣にそびえ立つ、希望ヶ峰帝都大学病院へと運び込まれた。
倒れている逢坂を見つけたのは、教師に連れられる形で、授業に少し遅れて教室に戻ってきた天海と王馬だ。
二人は、昼休みが終わりそうになっても食堂になかなか帰ってこない逢坂を探しに行く途中、彼女の事故現場に遭遇した。
「先生、雪は大丈夫なんですか!?」
「今、病院で診てもらっているから。大丈夫、大事には至らないよ」
赤松の心配する声に、教師は柔らかく笑みを浮かべて答えた。
「いやーそれにしても、逢坂を天海と王馬が見つけてくれてよかったよ。集中できないかもしれないが、逢坂のことは心配しないで、みんなは、授業を受けような!」
楽観的な教師の発言。
賞賛されたはずの天海は、その新卒の教師の言動が気に入らず、攻撃的な目で教壇を眺めた。
(……心配しないわけ、ないじゃないっすか)