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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第7章 嘘つきの本当






結局昼休みは最原と話すだけで時間を使ってしまい、次の授業の休み時間に1-aを覗きに行った。しかし探している彼の姿はなく、何度か覗きに行っても彼とは会えない。帰ったの?と彼と一緒にいるところをよく見る獄原に確認したが、授業にはかろうじて出ているらしい。


「なんか、ものすごく頬が膨れてたよ」
『…え?』
「虫歯なのって聞いたら、そんなわけないだろ!って怒られちゃった」
『……』


どうやら彼の機嫌は最低ラインらしい。口論になれば負ける気しかしないが、気まずい思いをしながら、放課後にも1-aに寄った。


『……あれ、いない…』
「あ、逢坂さん!王馬くんなら、さっき夢野さんに呼び出されてたよ」
『……夢野?』


(……それは…邪魔しちゃダメだよなぁ)


扉の所で右往左往していた逢坂を、気にしてくれたらしい獄原が教えてくれた。ありがと、とお礼を言うと、紳士として当然だよ!と返事を返された。王馬が鞄を取りに帰ってくるのを待とうと考えたが、最原と赤松の姿が見えたので、一度離れることにした。
自分の教室の席に戻って、一息ついたとき。


(…あれ?別に王馬と帰る約束なんてしてないんだから、私がここにいたら普通に帰っちゃうんじゃ)


王馬と初めて話をしたのは夏の登校時。それから彼は、逢坂が最原たちと4人でいる時に混ざってくることは無かったが、クリスマスイブを過ごしてからは、毎日のように下校時に迎えに来た。なんとなく天海と帰っていた逢坂は、特に拒む理由もなく、天海と王馬の三人で下校を続けていた。置いていくと怒るので、1-bが早く終わった時は迎えにいく。けれど、約束したわけじゃない。気づけば王馬が一緒にいて、一緒に帰ることになっているだけ。


(………。)


友達は、恋人のように約束された関係ではない。恋人になったところで、約束をいつまで守り続けられるのかも定かではない。けれど、友達でいるよりも、恋人同士になった方が王馬を手放さずに済む可能性は高まる。
そんな打算的なことを延々と考えて、気づけばもうHRが終わってから30分が経ってしまっていた。

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