第5章 「恋」
キーボは自室の扉をあけて、最原を促した。二人で一階に向かいながら、尚問いかけてくる最原に、キーボは困ったように笑いながら話した。
「最原クン、手を繋いでみてもいいですか」
「え?」
キーボの唐突な提案に、一瞬面食らったが、最原は素直に右手を出した。キーボはその最原の手を繋いで、少し考えた後、言葉を発した。
「…博士の手は温かいんですよ。触覚と温度感知機能をつけてもらったので、わかるようになりました」
「…え?う、うん」
「温かさが心地いいからだと思うんですが…ボクは、出来る限り博士の体温を感じていたい。でも…最原クンや、他の人に触れても、同じような心地よさは感じないんです」
「………」
「…博士にもっと触れてほしいんです。ずっと手を繋いで話をしていたい。王馬クンよりも、ボクの隣にいてほしい」
そんな気持ち、最原クンは知っていますか、と。キーボは最原に、人らしい視線を向けてくる。その言葉を聞いて、その視線を受けて。最原は、目を見開いた後、ぽつりと答えた。
「……うん、僕も知ってるよ」
キミの想いは
その気持ちの名前は