第3章 保健医×にのみや先生
「やっぱり。ここで煙草吸ってると思った」
「あれ、相葉さん。今日はもう仕事終わり?」
鞄を肩に担いで玄関からグラウンドまでの間にある喫煙所に立ち寄る。
吹きさらしで、道端に小さいスタンド灰皿が置いてあるだけの、肩身の狭い喫煙所。
思った通り、にのがだるそうに、白衣のまま煙草を吸っていた。
「うん、もう終わり」
「そっか、いいねー、俺は時間決まってるからさ」
「こんなとこでさぼってていいの?」
「いーのいーの。もうすぐ戻るから」
大体、保健医が煙草吸ってていいのかよ…とは思ったけど、にののヘビースモーカーは今に始まったことじゃないから、今日は突っ込むのはやめにしとく。
早速、本題。
「そうだ借りてたDVD、返すね」
なんて何気なく、鞄を開いてごそごそ、と探ってみると、
鞄の上のほうに乗っけたままだった、 のスカーフがはらり、と落ちる。
ちょうど、にのの目の前に舞い降りたスカーフ。
煙草を持ったままのにのの指が、焦げさせないように、そっとそれを持ち上げる。