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君と並んで歩く未来

第2章 神の舌


超名門校の料理学校へ編入試験を受けに会場に向かう創真と瀬凪。二人は並んで歩いている。だが、

「(場違い感がとんでもないです)」
周りはリムジンからおりてくる坊ちゃんたちばかり。本人達だけで来ているのはどう見ても創真と瀬凪だけだ。その場違い感に気圧されて早く試験会場に行こうと足を早める創真の隣で涼し気な顔、基無表情でついて行く瀬凪。無表情でありながらその絶対的な美貌は損なわれることはなく、逆に芸術品の様な神秘的な美しさを演出している。その為周りからの羨望と恍惚とした視線を独り占めしている。瀬凪本人は意図的に行っているわけでもなければ、自身の容姿に興味などひとつもない訳だが
足を早める創真だが、考え事をしながら歩いていたためかベンチの足を蹴ってしまった

「あ…ごめんっ蹴っちまった…」
座って紅茶を飲んでいた恐らく自分たちと同じ目的であろう男に謝罪する。男はニコリと人好きのする笑顔を浮かべた
「気にしないで。君も編入希望なんだね?」
笑顔で自分の隣に座るように促す彼__二階堂圭明。第一印象でいえば優しげな心の広い人間という感じだが、瀬凪は何かを感じ取ったのか、ベンチには座らず、座った創真の隣に立っていた。和やかな雰囲気で話す二人を横目に周りからの視線を感じながら考え事をする彼女。するといきなり隣にいる創真がベンチから転がり落ちた。転がり落ちたと言うよりは二階堂に蹴り落とされた、というのが正しいだろう。驚いて隣を見ると二階堂はゆっくりと立ち上がり叫んだ

「低俗な庶民が……この僕と並んで座るなぁあー!」
座れと言ったのはそちらなのに随分な言いぶんだと瀬凪は思いながらも創真の背中に手を当てた。周りはそんな状態の自分たちを嘲笑っている。その光景に彼女は形の良い柳眉を顰めた
「いいかよく聞け!」
いきり立って叫ぶ二階堂
「この学園は庶民の来ていい場所じゃない!」
食の上級階級に生きる者だけが学ぶことを許される聖なる庭、それが此処

遠月茶寮料理学園!

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