第96章 神年(しんねん)
すぐ倒せるだろうと楽観しそうになるそれを諌め
次なる戦いに備えて、動き始めていた
帰ってきたらまず治療を
と話し出していた矢先
戸が揺れた
がたっ
また地震か?
と訝しむと共に周囲の目が集中する中
それは現れた
がらっ
武彦「はあっ…はあっ」
ケイトの左腕を肩に回して全身を支えていた武彦だった
『どうした!?』
『何があった!?』
即座に駆け寄り、ボロ雑巾になった二人を介抱する為に動き出した
武彦「済みません…
あとは…たのみ、ます」ふらっ
がくっ
ばたっ
息絶え絶えの中、最後に言葉を零しながら瞑目し、前のめりにふらつき、そのまま力尽きるように倒れ伏した
咄嗟に受け止め、床への直撃は防げたものの…
相手の能力が気になる所だった
フィン「大丈夫か?」ケイトを抱えるアスフィへ目を向ける
アスフィ「ええ、気絶しているだけです」頷く
アイシャ「一体何があったって言うんだい」眉顰め
アイズ「わからない、でも…」俯く
レイ「とても、嫌な予感がする」青ざめ震え
ラーニェ「途方も無い脅威の気配が…地下から」地下睨視
がらっ
ガレス「地上の様子を見てきたぞ」
フィン「どうだった?」
ベッドへ寝かせながら尋ねた
ガレス「死傷者こそゼロじゃが…
全てマナメタル製だったのが幸いしてか、地獄のような光景は免れておったわ
空中都市であるコクーンにですら震度7強じゃ
地上は一溜まりもなかろう」腕組み嘆息
フィン「やはり…か」顎に手を当て考え込む
地上においては、観測史上初の震度15と言えるものだった
この世の終わりかと頭を抱える人が続出していた
マナメタルは一度変形すれば、プロの魔闘使い(鍛冶師、建築士)でなければ再度変形は出来ない
金属繊維として作られたものも、固形化の際に柔軟性を最大まで高めたものだ
それをそのまま織れば決して壊れない衣服となるだけでなく、衝撃も吸収して守ってくれる
マナメタルとは魔力の塊だからね…
5322,5345,5352ページ参照
それだけじゃない…
腕時計型携帯で必ず守られるように徹底していた
戦えない人も…
戦える人も…
それらが功を奏したと言える
ケイト…君は……どこまで先手を打って備えていたと言うんだ?
半年と半月前に全員へ行き渡っていた
お蔭で…全仁類は無傷で乗り越えることが出来た
