第83章 剪定
フィン「だから僕は愛したいし、信じたい
君の心を、愛を…」
ケイト「っ!」
じわっ涙が溢れる
フィン「何故、あの世では全て通じ合えるのに
この世では全く通じ合えないようにしたのか
その答えが…答えを、君の中に見たから」双眸を合わせ額を重ねる
ぽとっ
フィン「人を大事に出来るか…それを試す為のものだと、わかったんだ
君のお陰だよ?」ちゅっ
ケイト「俺は…何も…守れてないよっ」ぽろぽろ
フィン「そんなことはないよ
君は…僕達から目を背けないでいてくれた
どんな時も、真摯に向き合ってくれた
大事にしてくれたじゃないか
大事にしようと、頑張ってくれただろう?」
ケイト「でもっっ!」
フィン「僕達だけの為に、人のせいにして、僕達のせいにして、壊して回って責任を放棄しなかった
出来るのに、君はしなかっただろう?
ケイト「当たり前だろう!!」
フィン「それと一緒だよ?」
ケイト「へ?」
フィン「君は…自分のしたことを、人のせいになんかはしない
人が原因であっても、自分が選んで自分でしたことだ、と…そう言って聞かない
きちんと背負ってくれる
僕達を愛しているから、僕達のせいになんかは決してしない
それは…大事にするとは、真逆の行為だから……」
ケイト「!!」瞠目
フィン「そこを…君は教えてくれたよ?」
ぽんぽん
フィン「ちゃんと教えてくれたし、ちゃんと見ている」
ケイト「っっ、ぅっっ(嗚咽)
うわああああああああっっっ」咽び泣く
フィン「君は…僕達を守ってくれているよ、一番大事な心をね
愛する人を守る為という理由で、その愛する人のせいにする
それは、愛するとは真逆の行為だ
大事にするとは真逆の行為だ
愛する人のせいにする責任転嫁という「他者への侵害」であってはならないし、それは人も自らをも貶める行為でしかない
本当に人を大事に想う人は、そんなことをしない…
自分の責任を他者に背負わせたりなんかはしない、大事な人であれば殊更
自分のしたことを背負うという行為は…全てを大事にすることに通じている……そこを疎かにするから癌化するんだ
そんな大事な学びを、僕は君から貰ったんだ」微笑
ケイト「ひっく、ぅっ」
フィン「大丈夫だ…
(ぎゅうっ)
傍に居るよ…ちゃんと見ているから」
抱き締めた直後、その場に膝から崩れ落ちて号泣し出した
