第82章 光芒(こうぼう)
蓮「では…今日は、上級の馬術をお教えしましょうか」
正能「!
よいのか?」
蓮「ええ、勿論でございます^^
こちらも貰ってばかりでは心苦しゅうございますし」
気にすることは無い、と言いたげな顔で、無理やり飲み込んで、
いたずらっ子のように笑みを浮かべて言ってきた
正能「よし、では次来る時にはもっと美味しいものを持って来よう!
だが条件を付ける!」
蓮「条件、でございますか?」こてん←首傾げ
正能「ああ
お返しは不要だ」微笑
蓮「まあ!」口元に手を当てる
正能「ふふっ^^」
蓮「ふふふっ^^」
「「はっはっはっはっはっはっはっはっ^^」」
仲睦まじい時間を、共に過ごした
数か月…
出会った時期は、今で言う季節初夏(7月)
あの時から、初秋(9月)になっていた
時間にして、3か月は過ぎただろうか…
互いに――大事にし合える、蜜月を過ごしていた
正能「今日は木苺を取ってきたぞ
ん!酸っぱい!」
蓮「ふふふっ^^」
正能「ははは
お主も食べるか?」
蓮「いえ」
正能「遠慮するな
ほら」
蓮「……(ごくり)
えい!(ぱく)
ん~~~~
酸っぱい!」両手で頬に触れる
正能「ははははははっ^^」
蓮「もお…
ふふっ^^」
互いに…幸せな一時だったのは、間違い無かった
そんな折に、あの事件が起こった←4334ページ参照
父上が、私をお偉方の嫁に捻じ込むのだという話を
私を下に見る、家の道具として扱おうとする高笑いを――
よりにもよって…正能様のいる時に、私の部屋から近い外で
その際、怒りに震える、脇差に手を掛けるあの方を見て、止めなければと思った
意を決して、あの方の髷の先に手を伸ばした
他の殿方ならば怒るだろう…
男が一番上、女が一番下…だというのに…
変わらず、大事に接してくれた方だから
他の方ならば、間違いなく――問答無用で、無礼者!と言って切り捨てられる
それがわかっていても…
止めなければ――と思った
その怒りは、私を想ってのもの――私の為のものだから
この人になら――殺されても構わない
意を決して、その髷を引いて、止めた
蓮「お止め下さい…迷惑です」
ついに来た、とわかった
だからこそ…動いた
動かなければ…下っ端であるこの人の首は、容易く胴と分かたれてしまう
そんなのは――いや!