第68章 騒動
だから…そんな想い、味わって欲しくない。だから助ける。たとえ本人が望んでなくても。
その為なら…私は報われなくてもいい。一人のままでもいい。理解されなくたっていい。
同じ想いをする人を目の当たりにしたくない。
見えてない場所でも…少しでもいいから、増えて欲しくない」
フィン「それでは孤独なままだ。
今も、昔も…ずっと……」眉間に皺を寄せる
ケイト「うん……知ってる…←微笑
それが…私の正義だった。
私を下にしてでも、地獄落ちで苦しむ人を減らしたかった。
そうすることで…私の存在のせいで、地獄落ちにベクトルが向く人を減らしたかった。
でも…それは、『相手を考えての善行』とカウントされてしまう。
逆に、相手を地獄落ちのベクトルを強めてしまう…
だから……死ぬほど悩んできた。
その結果、体が壊れるまで負荷をかけてしまっていた。
心身共に…
でも…そのお陰で、大事なことに気付けた……」
フィン「ん?」
ケイト「…人間は、誰もが等しく勝手だ。
自分の見えるもの、感情、心、経緯、理屈、価値観…それぞれそのものにしかない『個』を持っている。
その『多様性』こそが『自由』で、「好きにしていい」という訳ではない。
楽しんだもの勝ちだからと言って、痛め付けることを善としてはいけないし、楽しい遊びとして行ってもならない。
ましてや…傷付けて、殺すことを、わざと、意図的に、害意や悪意を持ってやっていいことにはならない。
自由の意味、そこをしっかりと理解できた。
それともう一つ……私は…腐っていた。←3049,3050ページ参照
視界に蓋をして…相手ファーストに、助けることにシャカリキになって…
心を開いていない相手のは、霊感で見れないのに…見える範囲だけでも、感じる範囲だけでも、と躍起になっていた…
ただでさえ群れの中にいる時、数多の感情に飲まれて、己の感情が何か、心が何かすらもわからないほどに飲まれて、知らないからと軽視されて、無いものとまでされて…
それ以外ずっとされなかったから、余計…怖かった。
知らぬが仏。
だけど…一番知らなかったのは私で、愚かだったのも私だった…
私は…私を大事に想ってくれている人を、大事に出来ていなかった……
そればかりか…いないものと決め付けてさえいた」