第67章 躍進
ケイト「私の当時の自由は、『自分が死ぬことを願い続けること』だけだったから。
それ以外は全て、したらその時点で殴られるか蹴られるか殺されかけるかで徹底されていたし。
全て絶妙に殺さず、傷ができたとしても見えないように、尻尾も掴ませたことなんて一度もないし、それぐらい恐怖を植え付けて虐待して洗脳して縛るのが非常にうまかったよ、実の父親は。
物心つく前から徹底的に体にも心にも魂にも叩き込んで、それからは定期的に、忘れないように、忘れられる瞬間が来ないように、しっかりと刻み付け続けてきていたからね。
家に力尽くででも連れ帰って軟禁して、抵抗したらする分だけ殴って蹴って罵声を浴びせて高圧的に叫んで鼓膜を破れかける寸前まで追い詰めて叫んで喚いて殺されかけて、それをしまくってから楽しそうに笑ってた。
支配欲が大層強いんだろうね^^」
フィン「…今は…」
ケイト「ああ、今は…ある程度、感覚はわかってはきているよ?
自分を大事に、でしょ?」
フィン「随分客観視できるようになったのは喜ばしいけれど…
聞けば聞くほど、不憫だね;」
ケイト「はっはっはっはっはっはっ!^^
こんなのまだまだ序の口だ。思い通りにさえならなければいくらでも何してもいいと考えて動くのが常、謝罪なんて一度として聞いた試しもない。更には「俺の所有物に何しようが勝手だ!」が常套句だったからね。
周りの人、それを聞いてなんて言ったと思う?
「それならさっさと自殺しろよ」だってさ!^^
はっはっはっ!笑えるだろ?」額に手を押さえ笑う
フィン「ズキッ!)!…ケイトッ」苦し気
ケイト「そこからいじめだ!
9歳の時のそれがとどめになって人間不信や男性恐怖症を併発して、10歳になる頃には学校でも話しかけることすら先生に促されない限り出来なくなった!それからはずっとさ!!
楽しいなあ?嬉しいなあ?皆笑ってたよ!!」
フィン「ズキンッ!)…っ」
わかっている…
これは悲鳴だ――
9歳の頃の、ケイトの悲鳴だ。
ケイト「皆、人の不幸が大好きで、痛め付けるのが大好きなのさ。
それが人の本性で、それを持っていない人がほんの6厘以下にも過ぎない。
それが…私の学んできたことだよ。
戦国時代でもそうさ、死体蹴りをして笑う人の多いこと多いこと!」
誰も助けてくれなかったからこそ得た価値観だ。